[Top ページへ]  [そよかぜ通信:総合目次

 

成瀬医院

 


そよかぜ通信
 

vol.9 No.2 ver.3
200
71015

 

発行:成瀬医院  成瀬 清子

東京都杉並区清水 2-22-22

tel 03-5311-5133

 

 

目 次

 

予防接種

インフルエンザの予防接種

休診と冬休みのお知らせ

11月は休診または代診体制になります   10月9日追 15改訂

 


 

お久しぶりです。厳しい残暑が続いています。家の中にいても、真夏に比べ日差しが奥へ入り込む分、暑さがこたえますね。夏休みの終わり頃から「夏ばて」、要するに暑さや冷房で体調が崩れ、免疫力が落ちたことによると思われる発熱や下痢の方が多く見られました。残暑が続くとまた心配です。冷房温度、睡眠、水分、食事などに気をつけて、「秋ばて」にならないよう注意しましょう。

 

予防接種

3月に麻しん(はしか)や日本脳炎のことを中心に予防接種に関するそよかぜ通信を書き始めて以来、刻々と変わる状況のなか、何度も書きなおしながら結局完成できませんでした。ワクチン供給の見通しがつかず、どのようお知らせすればよいかもわからない混乱状態が続き、麻疹騒動は終わったものの、今も予防接種の問題はその延長上です。日本脳炎に関しても、どう書いてよいかわからない、というのが正直なところです。四国、九州地方や中国・東南アジア等、日本脳炎の感染地域に引っ越される方で未接種の方は是非ご相談下さい。

昔は赤痢やチフスなど、怖い病気がたくさんありました。数多い子供のうちの何人かは亡くなっても当たり前の時代がありました。でも今、かけがえのない子供を、予防接種をしていたら防げた病気で失うことは受け入れ難いことです。麻しんによる心筋炎で亡くなったお子さんを前に「何ではしかで死ぬんだあ」と号泣するお父さんの話などは、さらにその思いを強くさせます。麻しん、風しん混合ワクチンの二回目の接種は、現行の小学校入学前の一年間に加え、来年度より5年間、中学一年生と高校三年生に接種することになりました。まだまだ充分ではありませんが、一歩前進です。

麻しんは大人にとっても怖い病気です。たとえば24週以前の妊婦さんがかかると、まずほとんどの方が早産(死産)となるそうです。このことは、我々医師の間ですら余り知られていないことですが、中には30分前まで産科的には何も問題なかった妊婦さんが、突然、陣痛よりも激しい腹痛とともに瞬く間に胎児を娩出してしまうほどの激烈なものもあるそうです。自分がかかることで、周りの人へ感染を広げます。今年度の患者さんの多くは予防接種が済んでいない2才未満の子供と、10代、20代の若者でした。現在18歳以上、20代、30代の方で、麻しん、風しん予防接種を1回しか受けてない方は、是非抗体検査をするか、二回目の接種をご検討ください。

その他のワクチンについても色々ありますが、今回はひとつだけ。おたふく風邪。おたふく風邪の髄膜炎や睾丸炎はよく知られていますが、1000人に一人は回復不能な難聴になることはほとんど知られていません。これを防ぐ一番の方法は予防接種です。

 

インフルエンザの予防接種

さあ、今年もインフルエンザの予防接種の時期がやってきました。いくら怠けん坊の私でも、そよかぜ通信を書かないわけにはいきません。

予防接種の予約は既に始まっています。例年通り、ワクチンの確保、予診票、注意書きを事前にお渡しすることが目的で、日にちの予約ではありません。そのため毎年、予約をされても受けに来ない方が相当数おられ、接種日の期限を設けてみましたが、説明に時間をとられる割には効果はいまひとつ。予約金を取れば事務が煩雑になるし、「全額前金制早い者勝ち」がいいよといわれても、今一つふみきれず・・・。インフルエンザワクチンは余っても来年度には使えません。皆さん、予約をしたのに何らかの理由で受けない場合は必ず連絡して下さいね。

 

<効果>

インフルエンザの予防接種は麻疹のワクチンほど予防する効果はありません。本来、感染を防ぐ抗体は少ししか出来ず、ウィルスが身体の中で増えるのを防ぐ抗体を作るワクチンだからです。ですから、肺炎による重症化などは明らかに減少します。そして、小中学校での集団接種が中止された後、インフルエンザによると思われる乳幼児、高齢者の死亡が増加し、予防接種の再開とともに減っています。子供達が家庭でばら撒くウィルスが減るからでしょう。インフルエンザの予防接種は本人だけでなく、間接的に多くの人を救っていると考えられます。

高いお金を払って受けたのに、毎年かかる方もおられますが、このことから予防接種に効果がないとは言えません。交通事故にあったとき、シートベルトをしていても助からないかも知れないけれど、していた方が危険が少ないから着用することを思い浮かべるとわかりやすいかもしれません。完全ではないけれど、重症化を防ぎますし、かかる率を少なくすれば脳症も減らせます。それなりの効果があるワクチンということになります。

 

<接種回数>

13歳未満は二回接種、大人は1回接種です。大人も2回接種のほうが免疫は少し高まりますが「費用と効果の両面から考えれば一回でよし」です。喘息、心不全などの疾患を持つ方、受験生など、万全を期したい方は2回接種してもよいでしょう。

 

<接種時期>  〜今年は早目をお勧めします〜

毎年、一番多いご質問ですが、流行のピークが何時になるかが誰にも予想できないので「ベスト」の時期を決めるのは難しいです。抗体価(免疫の力)は接種してから4週くらいかけて上昇し、約半年持続し、徐々に低下します。グラフにすれば、台形の辺の横、上 横のイメージです。一回目と二回目の間隔は1〜4週となっていますが、4週あけたほうが免疫はよく上がります。しかし、2回目をうってからプラトー(台形の上の辺)に達するのにさらに4週かかりますので、既に流行が始まっている場合には間に合わないので、効果は落ちても1〜2週の間隔で接種することになります。

11月から遅くとも12月の初めに第一号の患者さんがみえ、段々流行が広まり、1〜2月にピークを迎えるのが通常のパターンですので、例年、二回接種の方は一回目を10月、二回目を11月に接種をし、12月の半ばには免疫ができているようなスケジュールをお勧めしていました。しかし、昨年のように本格的な流行の始まりが1月末、ピークは3月だった場合は、10月に接種では結果的には早すぎたかもしれません。

さて今年はどうなるでしょう。実は、この号が既にver.3なのは、状況が変化しているからです。前のversionでは、今年も、「2回接種の人は10月に1回目を、2回目と1回接種の人は11月に」をお勧め時期といたします。−中略― 予想が外れたらごめんなさい、と書きましたが、見事に予想が外れ、近隣の小学校で既に流行が見られ、学年閉鎖、学級閉鎖が出ています。このまま流行が広がるかどうかはわかりませんが、流行ってからでは遅いですし、前述のように、予防接種をしてから充分な効果が出るまでに一ヶ月かかります。先日、インフルエンザワクチンに関するプロ中のプロの講演でも、10〜11月の接種で春まで大丈夫と話されていました。接種を予定されてる方は、早目に受けることをお勧めいたします。

 

<予防接種期間と時間>

高齢者の定期接種(公費負担)の期間に合わせ、10月1日から開始します。今年も10月22日(月)より12月27日の午後、3時から4時までを予防接種専用時間とします。(専用時間の開始が遅くてごめんなさい)。勿論、通常の診療時間内にも接種可能です。高齢者の接種期間は1月10日までです。自費の方はその後も接種できますが、流行が始まる前に済ませましょう。

 

休診と冬休みのお知らせ

1)11月1日(木)は、沓掛小学校の健診業務のため、午前の診療の受付を10時で終了させていただきます。午後は通常通り診察いたします。ご迷惑をおかけいたしますが、よろしくご了承下さい。

2)12月28日(金)から1月6日(日)まで休診となります。ちょっと気が早いですが、次に何時発行できるか自信がないので、早々とお知らせします。

 

11月は休診または代診体制になります   10月9日追記 15日改訂

突然ですが、私自身が入院して手術を受けることになり、11月8日から約一ヶ月間、診療できません。インフルエンザ予防接種の真っ盛りの時期です。この間、代診の先生をお願いする予定です。(既に3/4以上の日に代診が決まっております。)ご迷惑をおかけして申し訳ありません。詳しくは、別紙「お知らせ」をお読み下さい。

 


[Top ページへ]  [そよかぜ通信:総合目次

Copyright (C) 2005 成瀬医院