[Top ページへ] [そよかぜ通信:総合目次] |
|
|
|
|
vol.8No.4 ver.1 発行:成瀬医院 成瀬 清子 東京都杉並区清水 2-22-22 tel 03-5311-5133 |
|
目 次
前号を発行したのが7月10日、まだ20日しか経っていないのに次号を出すなんて、そよかぜ通信創刊以来の驚くべきことです。「ばて気味」と言っておきながら、筆の遅い私がなぜ続けてそよかぜ通信を書くのでしょう。それは前号に、麻疹・風疹混合ワクチンに関し、間違った情報を書いてしまったからです。Ver.2 として訂正版を出そうかとも思いましたが、すでに感染症情報も古くなっていますし、思い切って新しい号にしました。そんなわけで、多くの内容は前号と重複しますが、大幅に手を加え、あえて新ナンバーで発行します。いつも急いで書くのであまりよい文章になっていないのですが、前号より少しましかなと思います。
でもアデノウィルス感染症がすべてプール熱ではありません。
7月中旬以降、プール熱が結構みられました。プール熱は正式には咽頭結膜熱と言う名のとおり、喉や目が真っ赤になり高熱が3〜5日、時に1週間続きます。感染力も強いので、症状が治まっても2日間登園、登校できません。アデノウィルスにより起こります。プールを介して爆発的に感染することが知られていますが、一年中見られる病気であり、また、学校やスイミングスクール、公共施設のプールなど、塩素管理のされているプールではまず感染しません。塩素の入っていない簡易プールでは容易に感染します。主な感染経路は飛まつ感染ですが、目やになどの接触感染で感染し、タオルの共有が感染源として知られています。
アデノウィルスは喉や結膜をこすって検査すると15分くらいで感染がわかります。ここで大事なのは、アデノウィルスが出たからと言って、必ずしもプール熱ではないということです。アデノウィルスには今わかっているだけで実に51も種類があり、多くの普通の風邪はアデノウィルスによるものですし、胃腸炎を起こしたり出血性膀胱炎を起こすこともあります。喉が赤く、高熱が出て、目が真っ赤に充血する、この三つがそろって始めて咽頭結膜熱(プール熱)と診断されます。それぞれの型に起こしやすい疾患はあり、プール熱は主に3型、そして7型により起こります。ただ、そのほかにも数種類プール熱を起こす型がありますし、また3型が気管支炎や肺炎、胃腸炎を起こすこともあります。確かに3型が一番多いそうですが、簡単に型を調べることはできず、プール熱かどうかはあくまで症状から判断することになります。
アデノウィルス感染症に特効薬はありませんが、プール熱も含めほとんどの場合、安静にしていれば自分の力で直ります。通常5日以上高熱が続き、ことに全身状態が悪いと川崎病などを疑う必要がありますが、熱が続いてもアデノウィルスが出ていれば、「大丈夫、アデノだからもうすこしで治るから頑張ろうね」といえる、そのような病気です。プール熱はそんなに怖い病気ではありませんが、前にも書いたとおり上の三つの症状がなくなっても二日間、登園、登校禁止です。プールに入ってよい時期は杉並医師会でもまだ最終見解が出ていませんが、塩素管理のできているプールでは2日たって登園、登校できる日にはオーケー、簡易プールでは一週間は禁止、ということになる見込みです。しばしば下痢を伴いますが、下痢のある間はプールは禁止です。
前号で、インフルエンザが沖縄や北海道ではやっており、6月に杉並区内の中学でインフルエンザによる学級閉鎖があったことをお伝えしました。いま流行している県は沖縄だけですが、いまだに注意報より上の警報レベルです。インフルエンザは流行こそしないものの一年中発症しうる病気です。突然の発熱とともに、筋肉痛、関節痛などの全身症状が強い場合はインフルエンザを疑ってみる必要があるかもしれません。
感染症に関する最近のもうひとつの大きな話題は、麻疹(はしか)の流行です。本年4月初旬に茨城県、千葉県ではしかが流行し、総患者数は100人を超えました。発端となった小学校での集団発生は全員予防接種を受けた児童でしたので軽症ですんでいます。しかし、その後の感染が広がり、十数人が入院しました。現時は終息していますが、麻疹の対策が必要なことがお分かりと思います。
さあ、ここが間違った情報を書いてしまったコーナーです。他の先進国に比べ麻疹(はしか)の対策が著しく遅れており、はしかの輸出国として国際的にも非難を浴びている日本ですが、今年の4月からようやく麻疹と風疹の予防接種が混合ワクチンを用いた2回法になりました。1歳から2歳までの間に1回、小学校就学前の一年間に2回目(2期)を接種します。当初は一回目を2歳までに受けなくてはならず、また、単独ワクチンを接種した子供は混合ワクチンを接種できないことになっていましたので、今まで7歳6ヶ月まで受けられていた麻疹と風疹ワクチンが、突然、今年の4月以降、2歳を過ぎていると受けられなくなってしまったのです。その後、未接種者に対する公費の適応の拡大が何度かありました。また単独ワクチンを接種した子も、混合ワクチンを接種してもよいことになり、最終的には、麻疹、風疹とも、かかったことのない人は就学1年前までにそれぞれを1回ずつ(一期)、就学前一年間に混合ワクチン1回(2期)、計2回受けられることになりました。7月1日から、来年小学校に入る子供たちの混合ワクチン接種が始まっています。そしてさらに、これはあまり知られていないことですが、今年度に限り、今年の3月31日現在7歳6ヶ月未満であり(前号では今年の一年生と書いてしまいました)未接種の子はH19年3月31日まで予防接種が受けられることになりました。ここで、勘違いが起こりました。すでに小学生になった子にも適応がある、との情報がはいったため、保健所に「すでに小学校に上がった子もMR混合ワクチンの適応があるのですね」と問い合わせたところ、「はい、―H10年10月2日より前に生まれた人は適応ありー(前号のサブタイトル)ます」との答えだったので、てっきりすでに1期が済んでいる子も、来年就学する子同様、2期の混合ワクチンが公費で受けられるようになったと思ってしまいました。ところが実はそうではなく、麻疹も風疹も受けていない子 (ほとんどいないと思いますが)はMR混合ワクチンの適応がある、という意味で、風疹だけが済んでない子は風疹の単独接種ができ、ちゃんと両方とも受けている人はMRワクチンの適応はないのだそうです。すべての1年生がMRワクチンを受けられると思ってしまった(随分粋な計らいだと感心しましたが)のは完全な間違えでした。申し訳ありませんでした。ただこれだけ読んでも、まだよくわからないと思います。どちらかの病気にかかったことのある人、どちらか片方の予防接種だけ受けた人、年齢により、単独ワクチンを使う場合、混合ワクチンを使う場合といろいろなケースがありとても複雑です。たとえ表にしてもよく理解できない内容です。あまりに何度もルールが変更になり、我々も混乱しています。当院のスタッフも即答できないかも知れませんが、不明な点はお問い合わせ下さい。
平成14年から始まった、5年毎の節目健診での肝炎ウィルス検査は今年で終了します。早く肝炎を見つけて治療し、肝癌の発症を防ぐための検診です。最終年度なので節目の方でなくても、今まで検査を受けていない方は区民健診の際に同時に受けられます。詳しくはスタッフにお問い合わせ下さい。
昨年は、新医院の移転準備ということで長い夏休みをとらせていただきましたが、今年も公私共に忙しく、少々ばて気味です。8月7日(月)から8月18日(金)まで、丸二週間診療を休ませていただきます。前後の土日を含めると5日(土)から20日(日)まで16日間診療がありません。なお、5日と19日の土曜日は城西病院で診療をしておりますので、中学生以上の方は受診可能です。12日は城西病院もお休みします。ご迷惑をおかけいたしますがよろしくご了承下さい。
[Top ページへ] [そよかぜ通信:総合目次] |
Copyright (C) 2005 成瀬医院 |