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Vol.5 No.3
Ver.1 発行:成瀬医院 成瀬 清子 東京都杉並区清水 2-11-12 tel 03-5311-5133 |
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目 次
乳幼児、高齢者、慢性疾患を持つ患者さんのいる家庭は、家族全員で接種を受けましょう
そよかぜ通信のバックナンバーを見ると、圧倒的にインフルエンザの事が多いですね。他にも書きたいことはいっぱいあるのに、怠け者の私はつい先伸ばしをしてしまうのですが、インフルエンザに時期が来ると書かざるを得ないので、ついつい片寄ってしまいます。またかとお思いでしょうが、私にとっては大事なテーマ。是非目を通して下さい。
今年は、SARSの流行が心配されるためか、例年より早くインフルエンザのワクチンが入荷しましたので、既に接種を開始しています。前号のお知らせにいくつか訂正があります。
ワクチンをうった後の免疫がどの位持続するかは資料によって表現に差があり、接種の時期を迷いましたが、抗体が上がってからほぼ半年は持続し、10月中に接種しても4月くらいまで持続します。前号では大人の方は11月になってからと書きましたが、早い流行に備え、また流行の拡大を防ぐ為にも、大人の方も既に接種を開始しました。問い合わせを頂いたのに、11月になってからとお答えした方も多く、申し訳なく思います。10月でも早過ぎることはないので、是非早めにお越し下さい。ただし、65才以上の方の公費の補助が使えるのは11月1日から2月29日までとなっております。中野区、練馬区にお住まいの方は杉並区の予診票で接種が可能です。予診票は医院にありますので、予約の際にお渡ししています。他の区の方は、それぞれの区の予診票を御持参下さい。東京都下にお住まいの方は各市町村発行の依頼票をお持ちいただければ、当院での接種が可能です。
やはりSARSの流行を心配して、杉並区では今年は65才以上の方全員に接種を推奨する葉書が10月25日に送られる予定です。資格確認の為葉書を持参するように書かれていますが、当院ではカルテを作りますので保険証を見せていただいています。保険証があれば、葉書はお持ちにならなくても結構です。予診票は既に医院に届きましたので、予約の際にお渡ししています。なるべく記入してお持ち下さい。
くり返しお伝えしていますが、インフルエンザの予防接種は、はしかなどとは異なり、接種してもある程度の方はかかってしまいます。免疫には色々種類があって、現在のワクチンでは、体全体にウイルスが回って重症になることを防ぐ抗体はできますが、喉からウイルスが入り込む、つまり感染を防ぐ抗体はできないからです。
感染を防ぐ抗体はできなくても発症する人は減ります。予防接種をしないと1000人のうち100人くらいがインフルエンザにかかるところを、ワクチンをうっておくと30人くらいに減らせる、そんな感じだそうです。それではあんまり意味がないように思われるかもしれません。かつて学校で集団接種をしても学級閉鎖はなくせなかったので、ワクチンは効かないと判断されたのもそのためです。しかし、集団接種を94年に止めてから、明らかにインフルエンザによる高齢者の死亡、乳幼児の死亡が増えています。集団接種によりインフルエンザを家庭に持ち込まないことで、間接的に高齢者や乳幼児を守っていたわけです。集団接種の間接効果が今他の国でも注目を集め始めています。
さらに、ワクチンをうつことにより、もしもかかってしまっても重症にならないことが次の重要なポイントです。インフルエンザで亡くなる高齢者の8割は予防接種をしておけば防げる事がわかっています。乳幼児の脳症に関しては、はっきりとした数字で示せるデータはありませんが、確実に減らせると考えられます。予防接種推奨の対象に乳幼児が入っていなかったアメリカでも、昨年から6ヶ月から2才までの子供が対象になりました。そして、6ヶ月未満の子は注射ができないので、両親が予防接種をすることで赤ちゃんを守りましょうといっています。これは、日本の集団接種の間接効果に習ったものです。
アメリカでの推奨の対象に、ハイリスクの人及びその家族全員、医療関係者、ハイリスクの人を世話する施設の人が挙げられています。ハイリスクには、1、高齢者、2、糖尿病、慢性肺疾患、心不全など、インフルエンザにかかると重症になりやすい慢性疾患を持つ人と共に乳幼児が含まれます。妊婦さんも推奨の対象です。
日本の場合、いくつかの理由から乳児のワクチンの効果は低いので、インフルエンザの専門科のお一人は、1才以下は保育園に行っていなければ本人はやらなくてもいいのではとおっしゃっています。もちろん家族がうつことが前提です。日本における2000年の年令別にみた死因順位で、インフルエンザは1才から4才では9位、5才から9才では8位に入っており、これは喘息よりも高い順位です。1才から6才までの幼児も家族全員の接種をお勧めします。
インフルエンザの予防接種は、死亡を防ぐ、重症化を防ぐ、他の人を守るものです。
家族全員で予防接種を受けると、相当の出費になります。前号では6才以上は一接種につき3000円、6才未満は2500円とお知らせしましたが13才未満に変更しました。2回接種する年令は全て2500円で行なっています。これは、一般の医療機関より安いと思っています。
予防接種は自由診療の対象なので、値段は幾らに設定しても構わないことになっています。一般的には、一回4〜5千円のところが多く、中には8千〜1万円のところもあります。杉並区(行政)は料金を4500円と設定し、高齢者ではその半額を公費負担とする計算です。杉並区の医療機関は全体に安い料金でやっているところが多いのですが、ある会合で料金が話題になった時、3000〜3500円という価格はダンピングだとこぼしている医師がいました。また昨年の新聞に、安い料金でやっているところがあるのに、それより高い公費補助の設定は税金の無駄使いだとの記事が載りました。現在のゆがんだ医療保険制度では、病院は室料差額、いわゆるベッド代無しには経営が成り立たないような実情です。予防接種の金額は、それぞれの医療機関がそれぞれの判断で決めています。当院の料金が、こんな値段でやっているところがあるのに公費の設定を4500円とするのは税金の無駄使いだという世論に使われるなら、当院の予防接種の値段を上げざるをえません。この価格は、私のインフルエンザに対する思い入れの結果としてとらえ、どうか他の医療機関や公費の予防接種価格設定と比べないで下さい。
ワクチンは充分量確保しているつもりですので、現段階では予約無しに来ていただいても接種できますが、今年は昨年の同時期の2倍程度の予約が入っています。ワクチンの必要量を推定するためにも、できるだけ予約をお願いします。前号でお知らせした通り、一回目を一月中に受けられない方は自動的にキャンセルさせていただきます。接種を止められる方はなるべく御連絡下さい。
また、待ち合い室の混雑を避けるために、前もって予診票をお渡ししていますので、電話で予約の方も、ついでの時に予診票をとりに来ていただき、あらかじめ記入しておいて頂くと助かります。体温は当院で計っていただきますが、医院が嫌いで泣いてしまうお子さんは体温があがってしまいますので、参考のために家でも計ってきて下さい。
11月と12月は例年通り、通常の診察時間以外にも、月、火、木、金(夕方の診療のある日)は3時半からも予防接種を行ないます。もちろん診療時間内でも構いません。11月28日は最終金曜日なので、夕方の予防接種は行ないません。12月については、冬休み期間を決めてからお知らせします。
インフルエンザと共に心配なのが、SARSの流行ですね。病院が感染拡大の主要な場になった昨年の例からも分かるように、もし、SARSが疑われたら、感染を拡大させないために、特別な設備のある医療機関で万全の体制で診察しなくてはなりません。これは、小さな医療機関では到底できないことです。昨年、杉並区は区内の3ケ所の病院を拠点病院に指定し、疑いのある場合は電話連絡の上、これらの病院で診察することにしましたが、実際には対応できる状態ではありませんでした。
今年東京都は、感染予防対策が可能で、SARS疑い患者の診察に対応ができる医療機関として、都内の22ケ所の協力医療機関を指定しましたが、私達医療関係者にも名前は公表されていません。心配する人が殺到すると、本当に疑わしい人にきちんと対応できなくなるからです。ちなみに、杉並区には指定医療機関はないそうです。疑いのある患者さんは電話で保健所に相談し、疑いが濃厚な例は保健所を通じて指定協力医療機関を受診していただくことになりました。一般病院や診療所ではまったく対応できません。疑いがあって心配だと言って受診なさると大混乱になります。SARSの疑いのある方は、昼間は各保健所(杉並区は03-3391-0015)へ、土曜、日曜、祝日および夜間は東京都保険医療情報センター「ひまわり」(03-5272-0303)へ御相談下さい。
12月14日(日)は休日診療を担当します。午前9時から午後5時まで、昼休み無しで診療します。急患の方はお越し下さい。
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