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Vol.5
No.1 (ver.3) 発行:成瀬医院 成瀬 清子 東京都杉並区清水 2-11-12 tel 03-5311-5133 |
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目 次
すっかり御無沙汰してしまいました。今年初めてのそよかぜ通信です。御無沙汰の言い訳はやめにして、まずは感染症情報です。
4月以降、インフルエンザはもちろんのこと、普通の風邪の患者さんもめっきり減り、待ち合い室はとても静かです。強いて言えば、吐いたり下痢をしたりの「おなかの風邪」がまだちらほらみられるのと溶連菌感染症が目立つ程度です。
正式にはA群ベータ溶血性連鎖球菌感染症といいます。通常、頭痛や悪寒と共に急激に38度以上の高熱がでます。朝は元気に出かけたのに、突然、「高熱があるのでお迎えにきて下さい」と幼稚園や学校から連絡が入るといった感じです。
喉が赤くなり、痛みます。扁桃腺が白く膿んでしまうこともあります。小さい子では、吐き気、嘔吐を伴うこともありますが、熱の割には元気な子が多い印象です。(大人はかなり辛そうですが。)全身の発疹が加わるものをしょうこう熱と呼んで、以前は隔離が必要とされていましたが、発疹が出た人だけを隔離しても感染の予防にはなりませんし、抗生物質がとてもよく効くので、現在は隔離の必要はなくなっています。また最近は、咽頭炎、扁桃炎のみのことが多く、発疹が出ることは稀になっています。
発疹が出ないと、普通のウィルス性の咽頭炎と区別がつきにくく、また、自然に治ってしまうことが多いのですが、この病気がちょっと厄介なのは、子供の場合、極まれに後で余病(腎炎やリウマチ熱)の出ることがあることです。腎炎を起こすと入院が必要になりますし、リウマチ熱で心炎を起こすと再発防止の為、大人になるまで抗生物質を飲み続けなくてはなりません。きちんと診断して、きっちり治療したい病気です。幸い、溶連菌感染かどうかは、喉の拭い液を用いた検査をすれば10分程でわかります。検査で陽性の子供は、余病が出ないようにペニシリンを2週間飲み続け、尿にタンパクが出ていないかをチェックします。溶連菌は免疫ができないため、家族の中で菌が行き来して、再感染をすることがあるので、家族の方にも同時に数日間薬を飲んでいただきます。
なんだかとてもこわい病気に聞こえるかも知れませんが(確かになかなか厄介なのですが)、薬がよく効くので熱は1〜2日で下がり、普通の風邪よりもむしろ治りやすいです。薬を飲みはじめて、ほぼ24時間で人に移らなくなりますから、48時間たって具合がよければ、学校へ行っても構いません。
大人にも溶連菌感染症はあるのですが、子供のように余病が出ることがめったにないので、扁桃線炎でも菌の検査をすることはあまりありません。長年大人ばかり診てきた私は認識不足で、扁桃腺が白くなっていたり、溶連菌特有の赤さがないと、高熱が出ていても、「ウィルスの風邪です」と検査もしませんでした。不必要な抗生物質はなるべく使わない方針なので、高熱があるだけでは抗生物質も使いませんでした。例え溶連菌感染症であっても、ほとんどの場合は普通の風邪と同様、自分の力で治りますので、私が見過ごした方も、恐らく腎炎やリウマチ熱にはならずに済んでくれたものと願っています。ただ、今年は例年より溶連菌感染症が多いようなので、喉の所見は溶連菌らしくないなと思っても、突然高熱を出した方等で検査をしてみると、結構陽性に出ます。突然高熱が出て喉が痛い時は、是非受診して検査をお受けになって下さい。ただし、主に冬に多い病気ですので、もうそろそろ下火になる時期です。書くのが遅いなあと、またまた反省しています。
計画はあってもなかなか実現しなかった成瀬医院のホームページですが、二人の友人の絶大なるサポートのお陰で、今年の2月、ついに開設することができました。とはいっても、私がなかなか原稿を書かないので、いつまでたっても暫定版です。新しいそよかぜ通信や休診の情報が、医院までおいで戴かなくても手には入ることが一つのポイントですのに、通信は一向に書かないし、サポーターに情報は流さないから連休のスケジュールも載らずに終わり、あまり初期の目的を果たしてはおりません。それでも少しずつ充実させていくつもりですので、インターネットをお使いの方は、http://www.naruse-clinic.jp/を覗いてみて下さい。ただし、そよかぜ通信の原点はあくまで印刷されたものだと思っていますので、そのままのレアウトで載せています。コンピューター画面では読みにくいと思います。お手数ですが印刷してお読み下さい。
SARSについても書くつもりでしたが、次回に致しましょう。
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