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Vol.4
No.4 (ver.1) 発行:成瀬医院 成瀬 清子 東京都杉並区清水 2-11-12 tel 03-5311-5133 |
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目 次
相変わらず気温の変化が激しいこの頃です。猛暑の後で抵抗力が落ちているのでしょう。様々なタイプの風邪がみられます。特に、1〜2ヶ月も続くしつこい咳が大人にも子供にもみられます。気温の変化に合わせて衣類の調節に気をつけて下さい。
10月中旬からインフルエンザの予防接種を始めました。昨年同様、基本的に子供は2回、大人は1回接種します。予防注射の効果発現時期と持続期間から、子供は10月中に1回目を、11月に子供の2回目と大人の接種を行なうのが一番理想的です。65才以上の高齢者の方は公費の補助が受けられます。期間は11月1日から2月28日で、用紙は医療機関に用意してあります。予約を開始していますので、窓口でお申し込み下さい。
インフルエンザの他にも、予防接種については今までにもいろいろ書いてきましたが、最近話題になっているものに、肺炎球菌ワクチンがあります。肺炎は、脳卒中、癌などと伴に、高齢者の重要な死亡原因です。もし肺炎が予防接種で防げるとしたら日本人の寿命はさらにぐっと伸びることでしょう。患者さんからも「一度打つと肺炎にならないワクチンがあるそうだけれど、お願いできますか。」とたびたび御質問を受けています。今回は、肺炎球菌ワクチンについてお知らせします。
肺炎の原因となる微生物には各種の細菌、ウィルス、かび、マイコプラズマなど、たくさんあります。肺炎球菌のワクチンで予防できるのは、肺炎球菌による肺炎だけで、すべての肺炎を予防するのではありません。しかし、肺炎球菌は名前につくぐらいですから、肺炎の原因として重要なものです。さらに、細菌による肺炎の多くは抗生物質で治療することができるのに、最近の肺炎球菌は抗生物質が効かないものが増えているために、一度肺炎になると治療が困難な事が多いのです。
日本では発熱すると気軽に抗生物質を使うことが長年行なわれてきたため、肺炎球菌による肺炎はあまり問題になることがなく、ワクチンは慢性の呼吸器疾患などの極一部の患者さんだけが対象で、健康な人にはほとんど使われていませんでした。ところが、抗生物質の乱用で、最近は抗生物質が効かない肺炎球菌が増えてしまったのです。いわゆる抗生物質耐性菌です。抗生物質耐性菌による肺炎は治療が困難な事は、MRSA(メチシリン耐性ブドウ球菌)で御存じの方も多い事でしょう。ワクチンは抗生物質耐性の肺炎球菌にも効果があるので、治療が困難な肺炎になる前に免疫をつける予防注射が最近見直されてきているのです。
耐性菌が日本ほど問題になっていないアメリカでも、65才以上の高齢者への接種率はインフルエンザ同様50%をこしています。肺炎球菌の予防接種により、高齢者の肺炎による死亡を減らす事ができると考えられます。
肺炎球菌には80種類以上ありますが、日本で使われているワクチンは、主に肺炎の原因になる23種類の肺炎球菌に免疫を作ります。一度接種すると約5年間効果が持続しますが、5年経ったらどうするかが問題です。日本の現状では、この予防注射は再接種すると局所反応が強く出る事を理由に、1回しか接種できない事になっています。しかし、実際には局所反応はあまり問題にならず、アメリカでは1997年より高齢者への再接種を推奨しています。日本でも、医者と患者さんで話し合った上で再接種を行なっている医療機関もあります。5年後には見解も変わっていることでしょう。肺炎になると重症になりやすい65才以上に方にはお勧めの予防接種で、当院でも接種を開始しました。ただし、ワクチンが高価なため料金が7000円かかります。インフルエンザ同様、公費負担が望まれますが、今の所見込みはありません。インフルエンザと一緒に接種する国もありますが、日本では一週間以上の間隔をあけて接種します。接種を御希望の方は予約をなさるか、ワクチンの在庫をあらかじめ電話で御確認のうえお越し下さい。
現在使われているワクチンの一部には、防腐剤として極少量の水銀が含まれているものがあります。先日、日経新聞に、水銀を含むワクチンをくり返し接種すると脳に水銀が蓄積し、子供の精神発達遅延の原因となる可能性があり、アメリカでは水銀を使わないようにしているのに、日本では全く対処されていないという記事が出ていたそうです。(私は読んでいないので、少し違っているかもしれません。)
日本のワクチンの中で水銀が使われているのは、三種混合、日本脳炎とインフルエンザだそうです。日本では、脳への蓄積という観点ではない様ですが、水銀を除いたり、量を減らす改善はされ始めています。
今年から日本脳炎のワクチンには、水銀を全く含まないものができました。インフルエンザに関してはすべてのメーカーのデータは揃っていませんが、昨年の濃度の25分の1に減らしたワクチンができています。今年、総べてこのワクチンにするのは無理かも知れませんが、お子さんには極力水銀の量が少ないものを使っていく予定です。恐らく来年には、改良がさらに進み、蓄積が継続することはないと思います。任意の予防接種をするかどうかの判断は難しいものです。基本的には私は予防接種を勧める立場をとっていますが、年々新しい情報が入り私の認識もどんどん変わっています。その時、その時に一番よいだろうと私が信じることをお伝えします。
湿疹等によく使われるステロイド軟膏はとてもよく効きますが、使い方を誤ると害もあります。軽い湿疹やあせもには、「ステロイドを含まないから安心して使えます」と、アンダーム軟膏をよく使っていました。ところが、このアンダーム軟膏はくり返し使っているとアレルギーをおこし、かえって皮膚炎を悪くすることがあるそうです。今までの所、私がお出しした方で悪くなったと言う報告は伺っていませんが、私が知らないだけで、悪化して皮膚科にいらした方がいらっしゃるのかも知れません。もし、そういう方がいらしたら、ごめんなさい。
軽いあせもやおむつかぶれ等では、1〜2回塗っただけで治りますので、
そのような使い方では心配はない様ですが、皮膚科の先生は、むしろ弱いステロイドの方が安心とおしゃっています。ステロイドは正しく使えば副作用は心配いりません。今後は別の薬も用意し、気をつけて使っていきます。
アンダームを長期に使っていた方は、薬を検討しなおしますので、御相談下さい。
薬で何かおこった場合、遠慮をして医者に伝えないと、医者はみんな治ったものと思って、なかなか成長しません。副作用等が出た場合は、医者の為、他の人の為と思って、是非情報をお知らせ下さい。
10月1日、またまた保健法が改正されました。一番大きな改正点は、高齢者の負担金です。今までは診療の内容に関わらず、当院では一回の受診毎に850円、月4回までお支払いいただければよかったのですが、今後は収入により、1割ないし2割を上限無しに負担していただくことになります。
また、老人保健法が適応になる年令が70才から75才になり、9月までに70才になられた方はそのまま老人保健法が適応になりますが、10月以降に70才になられる方、前期高齢者と呼ばれる資格になります。前期高齢者の方も窓口負担は1割か2割です。老人保健法適応の方も前期高齢者の方も、通常の保険証の他に、1割か2割の表示のある老人保険証または国民保険証とよく似た保険証に2枚がお手元にあることと思います。この1割負担か2割負担かは月毎に変わることもあり得るので、窓口では必ず毎月確認させていただく必要があります。保険証の提示がない場合、規則では2割頂いて1割負担の場合の返還は、保険者と患者さんとで行なっていただくことになっています。保険証をお忘れになることもあるでしょうし、窓口の対応は柔軟に行なう予定ではありますが、月を越えて、保険請求をした後に1割から2割に変更する方法が制度上ありません。毎月の保険証の確認にどうぞよろしく御協力下さい。また、窓口業務が益々複雑になり、今まで以上に時間がかかることがあることと思います。どうぞご了承下さい。
11月10日(日曜)に休日診療を担当致します。診療時間は午前9時から午後5時までです。急病の方はお越し下さい。
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